工務店でありながら、サイト名は「MK-web」。
ブログにツイッターと、ITを駆使して情報発信し続けるのは、
ひとえにお客への思いやり。
託された要望を100%どころか、150%にして応えていく、
柔軟な発想が頼もしい、家造りのプロが健在だ。

木目が美しいナチュラルな空間。壁のシックな縦長のタイルがいいアクセント
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貸家リノベーションの物件。白色の外壁に、リキッドブルーの扉。平屋タイプの貸 家が斬新かつ魅力的に、平成の世によみがえる
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貸家リノベーションで、昔ながらのお風呂が現代風に大変身。壁にはシックな縦長 の黒タイル、浴槽は何と猫脚つきだ
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震度7でも耐える「レスキュールーム」。家の中に組み入れる工法=シェルター化 工法により、家族を守る安全空間がわが家に
店長からの一言

森田守年さん
敷居が高いと思われがちな工務店ですが、家のことなら何でもお気軽にご相談ください。棚、収納、バリアフリー、修理・修繕、床暖房など、どんなことでも対応いたします。地元の信頼の中で長年、仕事をしてまいりました。どうか、安心してお任せください。一度、お電話いただければ幸いです。
基本情報
店名 | 森田建築 |
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住所 | 福生市熊川531 |
電話 | 042-551-6100 |
営業時間 |
8:00~18:00 |
定休日 | 日曜日、祝祭日 |
駐車場 | 4台 |
カード使用 | 可(お問い合わせください) |
URL | http://www.mk-web.jp/ |
ストーリー
お客のためになるなら、こだわりはない

事務所での打ち合わせ。お客の要望にとことん寄り添い、プロとしてさらに価値あるものを提案していく
事務所というより、広めの書斎のような印象だった。木目を生かした内装はナチュラルで心地よく、お手製の棚にさまざまな本が並ぶ。降り注ぐ光、吹き抜ける風、木製のテーブルで森田社長と対面したその瞬間から、こんな空間で仕事をしたいという欲求がどんどん湧き上がる。
居心地の良さ、気持ちのいい空間――、家を造るなら誰もが願うこと。それを既に、事務所そのもので体現していた。
工務店取材、ならば「職人魂だろう」というステレオタイプな思い込みを、森田さんは「まあ、修行はしたけど・・」と穏やかに打ち消す。そして、見せてくれたのはiPad。スチール写真では決してなく。指で触れるたびに、工事の途中経過や完成した家の写真などさまざまなシーンが目の前に広がっていく。これは、新しいタイプの「職人」なのか?
「モダン、カントリー調、自然素材を使った家など、お客さんの要望は一人一人違うのが、今なんです。値段も材料も、考え方も。一人一人違うから、『これだ』というものはない。何度も一緒に話し合って、お客さんに合ったものをプロとしていかに提案していくかが、大事ですね」(森田さん)
そのためには、自身が、「一つの価値」や「あるべき姿」にこだわっていてはいけないのだ。森田さんは、にっこりこう語る。
「お客さんのためになるなら、こだわることはないと思っています」
ツイッターやブログでの発信など、およそ工務店らしからぬ(すみません)柔軟かつ斬新なスタイルこそ、森田さんが最も大事にしているもの。「職人としてのこだわり」にお客を合わせて行くのではなく、あくまで主体はお客であるというこの姿勢は、家を建てる側にとってとてもありがたい。
工務店への垣根を、取り払いたい

外国暮らしが長かったお客の要望により、全体を明るく照らすギラギラした照明ではなく、落ち着ける穏やかな照明にあり方を実現。「毎回、勉強になりますね」と森田さん。
大工さんや工務店というのは、「家を建てる」「リフォームする」といった明確な目的がない限り、電話をしたり門をくぐってみるところではない。その意味では、最初から垣根がある。森田さんは今、その垣根を取り払いたいと思っている。
「よく、『小さい仕事ですみません』と言われるのですが、そんなこと、全然、ないんです。棚を作る、ドアノブが壊れた、トイレにペーパーホルダーを作りたいとか、どんなことでもいいんです。何千円の仕事でも全然大丈夫。だから、気軽に相談してほしいんです」
この言葉に、目からウロコの思いだ。いろいろな家の悩みを、小さなことから相談できるなんて! たとえば、仕事場に機能的な棚を据え付けで作ってもらえば、あふれる資料が何とかなる等々、いろんな「悩み」に解決策が見えてくる。
市民と近い存在でありたいという森田さんの思いが、端的に現れているのが、ホームページだ。一度、サイトを覗いてほしい。手書き文字のような書体がかわいらしい、手作り感満載のトップページ。2007年から始めた「建築屋のBLOG」は貴重な仕事記録であり、森田さんのあたたかな思いが垣間見る場所だ。完成した家々、進行中の現場の様子は動画でも目にできる。リフォームや耐震、ソーラーパネルなどについてわかりやすく勉強もできる。
生活者に寄り添おうとしてくれる家造りのプロが地元にあることは、何と頼もしいことだろう。
住んで「よかった!」と思える、家づくりのために
新しいタイプの「職人」が持つ、絶妙なバランス感覚

減築の家のリビングダイニング。減築とは改築する際に床面積を減らすこと。両親 が住んでいた家を息子さんが受け継ぎ、駐車スペースを確保するために「減築」を 採用。
森田建築は昭和47年、森田さんの父・一さんの手で創業された。父が築いた家業の世界に森田さんが入ったのは高校卒業後、2代目として森田さんが父の後を継いだのだが・・・。「継いだっていう感覚はあまりないんですよ。自然とそうなったというか。小さい時から掃除を手伝わされていたし、嫌だってことはないし・・・」
始まりから、勝手に思い描く「職人物語」とはちょっと違う。腕一筋というより、森田さんは「バランス」を重視する。即ち、それが「新しい技術の習得、施主からの信頼、そして人材育成」であると。
森田さんは設計・施工技術と並んで、建築素材を重要視する。だからこそ、インターネットで常に良質な新たな素材の情報収集を行い、ツイッターで発信する。IKEAにまで、いいと思ったらパッと買いに行くって、新しい時代の職人像かもしれない。
お客とは、何度も話し合いを繰り返すという。「お客さんが一番大事にしているものをどうやって見つけ、どうしたら最終的にお客さんが満足するか」を常に考えるからだ。工事が始まった後でも、お客の考えが変わったら図面を引き直し、修正を加える。こんなことはハウスメーカーの家造りではあり得ないどころか、なかなか難しいことではないか。なのに、森田さんは「お客さんの要望に応えていくことこそ、こだわり。住んでみて、よかったって思ってもらえる家を造ること、それが喜びです」とサラリと笑う。
さらに今、森田建築は国土交通省が行っている「大工育成塾」という、棟梁を育てるプロジェクトに参加。大工を目指す若者を受け入れ、次代を担う人材育成に積極的に取り組んでいる。
減築に貸家リノベーション、新しい試みが次々と

貸家リノベーションによる内部。6畳と4畳半の和室だった面影はどこにもない。 木目がナチュラル、シンプルで明るいモダンな空間に生まれ変わった。
森田さんは今、「貸家リノベーション」という新たな試みに着手している。戦後から高度経済成長期にかけて次々につくられた平屋タイプの貸家について、大幅な改変工事を行う「リノベーション」を大家さんに提案、実験的に工事を行っている。
驚きは、玄関に立った時から始まった。お馴染みの貸家の外壁は、なんと瀟洒な白一色。扉はリキッドブルーという鮮やかな青色に塗られ、玄関横の壁にはステンドグラスのようなガラスブロックが3個、縦に埋め込まれている。平屋の貸家へのイメージは、すでに木端微塵に吹き飛んでいる。扉を開ければフローリングの床にアイボリーの壁という洋風空間が広がり、四畳半と六畳という間取りの和室だった面影はどこにもない。
「2DKを1LDKにしようと、間仕切りを取っ払ったんです。空間を広く使えるようにね。これから外に、ウッドデッキも作るんですよ」
とにかく、目をみはるものばかり。「となりのトトロ」に出てきそうなお風呂が、壁にはシックな黒の縦長タイル、浴槽はヨーロピアン調の猫脚付き、IKEAの洗面台までついている。リビングダイニングは明るい無垢材の床がナチュラルな雰囲気を醸し、収納もスッキリ。おしゃれで明るく、とにかくモダン。古い貸家が清潔感にあふれ、新しい価値観をまとい、魅力的によみがえっていた。それはもう、感動的なまでに。
「今、3軒目をやっているのですが、面白いですよ。もうひとつ上を目指して、よそではできないことをやれればと思っています」
最近は床面積を減らす、「減築の家」にも着手。「レスキュールーム」という耐震構造を家の中に作り上げる工法も行う。これから森田建築はどこへ向かうのか。斬新かつユニークな試みに、もはや目が離せない。