“AWESOME(素晴らしい)”麺にぞっこん! 居心地抜群のカフェ&ダイナー
めんどころ しんすけ
麺処 しんすけ
「普通だけど美味しいラーメン」に自信があります
- 住所
- 福生市福生1103
- TEL
- 042-513-4915
「普通の」醤油ラーメンが柱だが、主役ではない。
木目が優しい、カフェのようなおしゃれ空間に、
厳選されたクラフトビールとウイスキーがズラリ。
カフェとしてもダイナーとしても、お好みで。
心地よい時間を過して欲しいーー、何よりの店の望みだ。

市役所通り、福生一小の前。外観からはとてもここがラーメン店だとは思えない。季節により、さまざまな中華そばが登場する
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豚肉が驚くほどしっとり、「ローストポーク盛り」。珍しいクラフトビール「馨和」も味わえる
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木目の床に木目調のテーブル。カフェのようなおしゃれな店内。ここがラーメン店だと思えない。
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冬限定の「出汁とスパイスのフォンドボー中華そば」。出汁の和の香りと、さまざまなスパイスの個性が渾然一体となった、味わったことのないカレースープだ
店長からの一言

小林慎介さん
普通だけど美味しいラーメンが自慢ですが、ラーメンを頼まなくても全然構いません。コーヒーだけでも、ウイスキーとおつまみだけでも、お客さまが心地良く過ごしていただければ、それが一番の望みです。家族連れでも友人、恋人同士でも、皆さまにとっていい時間を過ごしていただければと思います。どうか、お気軽に出かけください。
基本情報
店名 | 麺処 しんすけ |
---|---|
住所 | 福生市福生1103 |
電話 | 042-513-4915 |
営業時間 |
11:30~21:00 |
定休日 | 不定休 |
駐車場 | 4台 |
カード使用 | 可、各種キャッシュレス決済対応 |
URL | https://foodplace.jp/shinsuke/ |
ストーリー
麺処を掲げるが、ラーメンは主役ではない

このスープこそ、店の全ての味の基本「中華そば」。これぞ、日本人のDNAに組み込まれている、昔ながらのラーメン
「うちはラーメンを食べないで、コーヒーだけ飲んで帰っていただいても、全然いいんです。夜に、ちょっとつまんでハイボールを飲むのもアリですね」
「麺処」とラーメンを看板に掲げるが、ラーメンが全てではない。木目の床、壁にはレコードジャケット、正面には数十本のウイスキーの瓶がずらりと並ぶ店内は、ラーメン屋だという思い込みを完全に覆すおしゃれなカフェのような空間になっている。
もちろん、柱はラーメンだ。ただし、「凄いラーメンはない」と小林さん。
「インスタ映えのためにインパクトを出す気もなく、提供するのは全て、“普通の醤油ラーメン”です」
だけどこのラーメン、食べた人の10人中9人から「あっ、美味しい」という言葉が漏れる。
基本のラーメンは「中華そば」、「和出汁中華そば」「八王子ラーメン」の3種。「中華そば」は小林さん曰く「日本人のDNAに入っている」、昔からのラーメン。きれいに澄んだ黄金色のスープは一口含めば、鶏の濃厚な旨味が口中いっぱいに広がり、あっさりでありながら奥深く旨味たっぷり。ツルツルっと、中太のストレート麺がよく絡む。「この味こそ、店の全て」という小林さん。その言葉に心から納得する。
「和出汁中華そば」は、スープを啜ればうわーっと叫びが漏れるほど、濃厚で強烈な魚介の出汁に一気に魅了される。宗田鰹、屋久島鯖、九十九里煮干し、利尻昆布、ホタテなどこれでもかと魚介を使用しただけあり、強烈な魚介の旨味と香りがたまらない。
ご存じ「八王子ラーメン」は生の玉ねぎのシャキシャキ感が特徴だが、醤油の香りがガツンと香る濃厚なコクのあるスープが、パンチのある味わいを醸している。これは、ここだけの「八王子ラーメン」だ! 背脂をトッピングすれば濃厚さはさらに増し、麺を啜る勢いが止まらない。
チャーシューは「ラーメンの味わいを邪魔しない」よう配慮し、ド派手さこそないが、全てのラーメンにしっかり寄り添う、間違いのない美味しさ。メンマも食べ応え十分。磯のりもまた、いい伴走者だ。
このラーメンを、エルビス・プレスリーやジャニス・ジョップリンのBGMで啜るのだ。何という、うれしいミスマッチだろう。
ウイスキー初心者は、まずここから

とにかく、このウイスキーのラインナップを見よ! どでかい魚のフライがドーンと乗った、「フィッシュ&チップス」。「バッファローウイング」は鶏肉がしっとり柔らかく、ピリ辛の風味がやみつきに
オープンは、コロナ禍真っ只中の2021年5月。ラーメン店なのだが、小林さんは最初からウイスキー30種、クラフトビール15種を置き、生ビールはハイネケンに決めた。店の内装を「ちょっとかっこいいバーのイメージ」としたように、ラーメン店一色にするつもりは全くなかった。
「内装を見て、『ラーメン屋じゃねえな』とおっしゃる方もいますが、そうなんです。ここは、カフェ&ダイナーです。店名には一応、麺処とありますが、コーヒーにも紅茶にもこだわっていますし、美味しい焼き菓子も置いています。お客さまがここで心地よくお茶をしたり、ビールを飲んだりして、くつろいでいただければ。それが、うちの一番の願いです」
夕方から提供されるおつまみは約30種、それも普通の居酒屋にないメニューがズラリと並ぶ。「アスパラガスのピクルス」(300円)は、ホワイトアスパラのシャキシャキの食感とお酢の風味がマッチ。「マスタード仕立てのおつまみポテサラ」(350円)は潰したじゃがいもとゴロっとしたじゃがいもと、生の千切りといろいろな食感が味わえ、マスタードの酸味が味を引き締める。「トリュフソース添え ローストポーク盛り」(600円)は燻製の香ばしさをまとった、しっとりと柔らかい豚肉を、甘めのソースとトリュフ香る酸味の効いたタレで食す。「上」のラーメンに乗っている肉だというが、完全に欧風の味だ。サクサクの巨大なフライに驚いてしまう「フィッシュ&チップス」にハイボールとくれば、完全にイギリスのパブの世界だ。
しかも、ウイスキー初心者に向けて「シングルモルトウイスキー」「ブレンデッドスコッチ」「アメリカン&ジャパンウイスキー」「アイリッシュ&カナディアン」とそれぞれのウイスキーごとの「トリセツ」が作られ、小林さんの微に入り細に入った解説を読みながら、グラスを傾けて勉強もできる。それも全て、お手軽価格なのだ。バーなら2000円は行くものがワンコイン+αで、ハイボール、ストレート、ロック、トゥワイスアップの飲み方で、それぞれにふさわしいグラスで楽しめるという、完全にラーメン屋を吹っ切ったこだわりようだ。
「高いボトルは入れないようにしています。ここで味見してもらって、家でも楽しんでいただけるように。トゥワイスアップはグレンケアンという鑑評会で使われるグラスにしています。これで、ウイスキーの味も変わりますから」
もちろん、クラフトビールにも「トリセツ」があり、その辺のバーよりはるかにお手軽に、本物のお酒を料理と共に楽しめるのだ。
私たちお客一人一人にとって、心地良い時間のために
最初から最後まで、味の変化を楽しむラーメン

色とりどりの野菜がアクセント、「ベジタブル中華そば」。添えられているオレガノとバジルのパウダーをかければ一気に洋風に、まるでラタトューユ
基本の3種のラーメンだが、「中華そば」には「ベジタブル中華そば」というアレンジメニューがある。角切りのナス、パプリカ、ズッキーニ、トマトの炒め野菜が入る変わり種だ。
「これは鶏油(ちーゆ)をうまく仕込んで、それを使って炒めないと無理なんです。ラードで炒めたら、全ての素材の味をスポイルしてしまいますから」
いろいろな野菜の色が美しい、可愛らしいビジュアルのラーメンだ。鶏の出汁が香る濃厚なスープに、野菜の甘さが溶け込んでいる優しいスープ。ズッキーニがまさか、ラーメンに合うとは思いもしないし、トマトの酸味もいいアクセントだ。中盤でオレガノとバジルのパウダーをかければ味は一気に洋風に、ラタトューユに似た味わいに変わる驚きも味わえる。
冬限定の「出汁とスパイスのフォンドボーカレー中華そば」は、まさに和出汁の香りとさまざまなスパイスが香る、味わったことのないカレースープだ。「国民食としてのカレーとラーメンを一つにするのだから難しく、何度も試行錯誤した」と小林さんが言うが、最初からこれがあったに違いないと思えるほど確かな一杯。カレーとラーメンを同時に味わえるなんて、幸せに決まっている。
「うちのラーメンは食べ始めと食べ終わりで、味が違ってくるんです。スープの温度で麺から甘みがスープにどんどん沁みてきて、ネギもスープの熱で徐々に甘くなってきて、最後まで飽きずに、麺とスープをかけ込むことができます」
確かに最初のインパクトはすごいが、飽きてしまうラーメンも多い。小林さんが目指すのは、最初から最後まで味の変化を楽しみながら食せるラーメンなのだ。
もともとラーメン好きではない、消去法で選んだ世界

世界最古のウイスキー蒸溜所、「ブッシュミルズ」がこのラインナップ。オリジナルアイリッシュウイスキーのハイボールが500円。本物に酔いしれる
小林さんは長年、電機メーカーの営業職で全国を飛び回っていた。結婚をし、子どもができたことをきっかけに会社員を辞め、40歳を前に家族との時間も大切にしながら自分らしく生きる人生をと思い、起業することにした。いろいろな業態を考えたが、行き着いたのは飲食。それまで野菜を洗ったことも、包丁を握ったこともなかった。現場で学ぼうと選んだのが、大手チェーンの「CoCo壱番屋」。衛生管理はもちろん、店舗運営、アルバイト運用など独立に必要なことを全て学んだ。しかし、会社は独立ラッシュ。CoCo壱で独立するには10年はかかる。そこで退社した小林さんは、飲み屋で出会ったラーメン店主の「江川亭」で半年、修行。「これなら行ける」と独立を決意し、たまたま通りかかった今の店舗を見つけ即決。カフェやバーを手掛ける棟梁と二人で内装からキッチンまで手作りし、2021年5月にオープンした。
目指したのはラーメンマニアが殺到する専門店ではなく、地域の家族連れや恋人、友人同士が気軽に入れて、誰もが満足して帰れる店。子どもがラーメンを食べている横で、大人は料理を摘んでハイボールを傾けることができる。家族みんながwin-winになれる店って、なかなかない。
「食べ終わった時に、『ああ、美味しかった』と言ってもらえるのがうれしいですね。心地よい時間を過ごしてもらえれば、何よりです」
ラーメン店だと、ラーメン好き以外にとっては敷居が高い。これほど美味しいラーメンを誇る店でありながら、この自由度の高さを見よ! こんなありがたい店が地元にあることを、心から喜びたい。